【歯医者で言われた一言】噛む力が弱ると認知症にも関係する?

先日、歯医者さんへ行ったときのことです。

「噛む力のテストをしますね」と言われ、検査を受けたところ、「噛む力が弱くなっていますね。カチカチと噛む練習をしてください」とアドバイスされました。

ちょうどそのときは歯茎が腫れて痛かったので、その影響もあったのかもしれません。

しかし、そこでふと思ったのです。

噛む力が弱くなると、何か体に問題が起こるのだろうか? 認知症とも関係があるのだろうか?

調べてみると、噛む力は歯や口だけの問題ではなく、食事や栄養、筋力、さらには認知機能との関係も研究されていることがわかりました。

今回は、私自身の体験をきっかけに、シニア世代が知っておきたい「噛む力と健康の関係」についてご紹介します。

【歯医者で言われた一言】噛む力が弱ると認知症にも関係する?

噛む力が弱くなると、認知症や筋力低下にも関係するのでしょうか?歯科医師から噛む練習を勧められた体験をもとに、オーラルフレイルの意味、噛む力と脳・全身の健康との関係、シニアが今日からできる口の健康習慣をわかりやすく解説します。

1.噛む力は、食べるためだけのものではなかった

私たちは普段、食事のときに何気なく噛んでいます。

しかし、食べ物を噛むという動作には、歯だけでなく、あごの筋肉、舌、頬など、さまざまな部分が協力しています。

しっかり噛むことで食べ物が細かくなり、唾液と混ざり合って飲み込みやすくなります。

ところが、歯を失ったり、歯茎が痛んだり、口の筋肉が衰えたりすると、十分に噛めなくなることがあります。

すると、肉や野菜などの硬い食材を避け、やわらかい食べ物ばかり選ぶようになるかもしれません。

その結果、食事の種類が偏り、タンパク質などの栄養が不足することもあります。

厚生労働省の健康情報サイトでも、高齢者の口の機能が低下すると、低栄養や筋肉量の減少につながり、要介護のリスクが高まる可能性が指摘されています。

つまり、口の健康を守ることは、全身の健康を守ることにもつながるのです。

2.「オーラルフレイル」という言葉をご存じですか?

日本歯科医師会が注意を呼びかけているのが、「オーラルフレイル」です。

フレイルとは、年齢を重ねることで心身の活力が低下し、健康な状態と介護が必要な状態の中間にあることをいいます。

そのうち、噛む、飲み込む、話すといった口の機能が衰え始めた状態をオーラルフレイルと呼びます。

例えば、こんな変化はありませんか?

  • 硬いものが以前より噛みにくくなった
  • 食事中に食べこぼすことが増えた
  • お茶や汁物でむせることがある
  • 口の中が乾きやすい
  • 滑舌が悪くなった気がする
  • 食べられる食品の種類が減ってきた

こうした変化があっても、年齢のせいだと見過ごしてしまいがちです。

しかし、日本歯科医師会は、早い段階で気づいて適切に対応すれば、口の機能の改善が期待できると説明しています。

「年だから仕方がない」と決めつけず、気になる変化があれば歯科医院に相談することが大切です。

参考:日本歯科医師会「オーラルフレイル」

3.噛む力と認知症には関係があるの?

ここが、今回私が特に気になったところです。

噛む力が弱い人と認知機能の低下との間には、関連を示す研究があります。

ただし、噛む力が弱くなったからといって、必ず認知症になるわけではありません。また、噛む練習だけで認知症を予防できると証明されているわけでもありません。

では、なぜ関係が注目されているのでしょうか。

理由① 噛む動作は脳を使う活動だから

食べ物を噛むときには、あごを動かすだけでなく、舌や頬を使い、食べ物の硬さや形を感じ取っています。

こうした動作には、脳と神経が関わっています。

そのため、噛む機能と認知機能の関係が研究されています。

ただし、「よく噛めば脳が若返る」と単純に言い切ることはできません。

理由② 食事の偏りが全身の衰えにつながるから

噛める食品が少なくなると、食事の内容が偏りやすくなります。

十分な栄養が摂れなければ、筋肉が減り、体力が落ちる可能性があります。

外出がおっくうになり、人と会ったり話したりする機会が減ってしまうことも考えられます。

こうした身体活動や社会交流の減少も、高齢期の健康を考えるうえで大切な要素です。

つまり、噛む力と認知機能の関係は、口の動きだけでなく、栄養、運動、社会とのつながりなど、さまざまな要因を含めて考える必要があります。

4.今日からできる「噛む力」を守る習慣

では、私たちシニアは何に気をつければよいのでしょうか。

難しいトレーニングを始める必要はありません。まずは、口の健康を日々意識することから始めましょう。

① 食事は、無理のない範囲でよく噛む

ひと口ごとに落ち着いて噛み、急いで飲み込まないようにします。

食材の硬さや大きさは、自分の歯や口の状態に合わせましょう。

歯茎が痛むときに、無理をして硬いものを噛む必要はありません。

② 歯科医師に教わった口の運動を行う

私が歯医者さんで教わったのは、カチカチと噛む練習です。

ただし、歯茎が腫れているときや、噛むと痛みがあるときは、無理に繰り返さないことが大切です。

痛みが治まってから、歯科医師に適切な回数や方法を確認してみましょう。

日本歯科医師会では、口の筋肉や舌を動かす体操、ガムを使った咀嚼訓練なども紹介しています。ただし、ガムを使う練習は、歯やあごの状態に合うか確認してから取り入れましょう。

参考:日本歯科医師会「オーラルフレイル対策のための口腔体操」

③ 歯と歯茎のケアを忘れない

噛む力を保つには、歯や歯茎を健康に保つことも欠かせません。

毎日の歯磨きに加え、定期的に歯科検診を受けましょう。

入れ歯を使っている方は、きちんと噛める状態になっているか、調整が必要ないかも確認しておきたいところです。

④ 人と話す、笑う機会をつくる

会話をするときにも、口や舌を使います。

家族や友人とのおしゃべり、趣味の集まり、カラオケなど、自分が楽しめる方法で口を動かす機会をつくるのもよいでしょう。

もちろん、会話だけで噛む力を十分に鍛えられるわけではありませんが、口の機能や社会とのつながりを保つうえで役立ちます。

5.私たちシニアが気をつけたいこと

今回、歯医者さんで噛む力を指摘されたことが、口の健康について考えるきっかけになりました。

ただし、私の場合は歯茎が腫れて痛んでいたため、そのときの検査結果だけで、普段から噛む力が弱っていると決めつけることはできません。

痛みが治まったあとに、歯科医師に改めて確認することも大切だと思います。

もし皆さんも「最近、硬いものが噛みにくい」「食事に時間がかかる」と感じていたら、年齢のせいだと諦めず、歯科医院で相談してみてください。

まとめ:健康寿命を守るために、口の健康にも目を向けよう

噛む力が弱くなると、食事や栄養、筋力などに影響し、全身の健康に関わることがあります。

また、噛む機能の低下と認知機能の低下には関連が報告されていますが、噛む力が弱いことだけで認知症になると決まるわけではありません。

大切なのは、必要以上に心配することではなく、早めに変化に気づき、できることから取り組むことです。

歯を大切にする。自分に合った方法で噛む練習をする。バランスよく食べる。そして、人との会話や日々の楽しみを忘れない。

いつまでも自分の口でおいしく食べられることは、人生の楽しみの一つです。

これからも、体だけでなく「口の健康」にも目を向けていきたいですね。

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